どう考えても、今年の夏の陽射しは“痛い”。
太陽に照らされた皮膚がじりじりと熱くなる。
夏は“暑い”ものだと思っていたから、ここ最近の異常気象は文字通りなんだかおかしい。
TVや雑誌では、毎年のように「10年に1度の猛暑」という言葉が使われていて、
もはや“10年”という単位がよく分からなくなってくるような、そんな日々が続いている。
「こんぴらさん」の愛称で知られる、香川県の琴平町。
古くから金比羅宮の門前町として栄えているこの町にも、
夏の暑さは平等にやって来るようだ。
さすが香川県、「うどん」の看板が所々に飾られている。
そういえば昔、香川出身の友人と、自分の出身地のご当地自慢みたいな会話をしていた時、
「じゃあ香川と言えば何だ」と半ば乱暴に言われたことがある。
僕は間髪入れずに「うどん」の3文字を言い放ったのだけれど、
「おいおい、何もわかっちゃいねーな」と、
友人は優越感と呆れた感情を混ぜ合わせたような顔でこちらを睨んできた覚えがある。
確かに、香川県はうどんだけじゃない。
琴平町に限って言えば、町のシンボルとも言える「金比羅宮」を筆頭に、
格別の「うどん」はもちろん、名物まんじゅうの「灸まん」や、麓には「ことひら温泉」の香りが漂っていて、
観るも良し。食べるも良し。住んでみるのも良し。といった三拍子が揃った場所だ。
さらに余談だが、金比羅宮の奥社までには、石段がなんと1368段もある。
お祭りに合わせて、毎年「こんぴら石段マラソン」なるものが開催されるほどで、
石段を登って降りて、いい汗をかいたら、そのまま麓の温泉へ足を運ぶ。
なんて流れも風情があって良いかもしれない。
ちなみに香川の友人は、「じゃあ何があるんだよ」という僕の質問に対し、
流暢な口調で、うどんの細かい種類を説明し始めたものだから、
さすがに僕も言い返す言葉が思いつかなかった。
結局その日の夜は、2人でうどんを食べに行った。
町の雰囲気も、極端に騒がしいわけでもなく、かといって静か過ぎるわけでもない。
古き良き土地の匂いと存在感がゆっくりと迫ってくるような、
今の時期なら思わず「あぁ~、夏だなぁ」と、胸のあたりが少しだけ押されるような、
そんなちょっと切なくも心地の良い夏の“痛さ”が感じられる。
香川県、琴平町。
10年に1度ではなく、1年に1度、四季を探しに訪れてみてはいかがでしょうか。
やっぱり、今年の夏の陽射しは“痛い”。